2012年3月6日火曜日

飛距離UP秘密の基本の基本とは……

飛距離UPには[ヘッドスピードの上昇]と信じているゴルファーが90%を超えている。
科学的に(1)ボールの初速度(2)打ち出し角(3)スピン量 のバランスの取れたゴルフクラブが飛距離UPを実現することが実証されている。この3要素の重要性は90%以上のゴルファーに理解されている。確かに、ヘッドスピードが加速すればボール初速度も上昇するが、飛距離UPに繋がる訳ではない。
何故、ヘッドスピード加速が飛距離UPに繋がらないのだろうか?


ヘッドスピードUPの願望は誰にもあるものだろう。一般の週末ゴルファーが自己の体力能力を超えるヘッドスピードを得ることは可能なのか。努力すれば実現できるのだろうか?

タイガー・ウッズはヘッドスピードUP に関して、「背筋など基礎体力のトレーニングは欠かしませんが、ヘッドスピードUPを意識してスイングしても加速することはありません。スイング中に最も意識を集中させるのはインパクトの瞬間の手ごたえ感。ヘッドスピードの上昇は結果であり目的ではない」と回答している。つまり、プロ最高の運動能力を持ってしても、意識的にヘッドスピードを上昇させるのは難しいということだ。

米国PCSの最新ゴルフ研究結果では、「長尺クラブ使用によるヘッドスピードの上昇率は5%程度である」と報告している。ヘッドスピード40m/S前後の平均的なゴルファーは[HS:2.0m/S]程度の上昇しか見込めない。そして、「実験データーではヘッドスピードが1m/S上昇する毎に[平均5ヤード/最大7ヤード]が記録された」と報告している。つまり、長尺クラブ使用による飛距離UPは平均10ヤード程度しか実現していない。

へッドスピードとはクラブヘッドの速度であり、ボールをヒットする直前からインパクトの瞬間にクラブを振ったときの速度である。つまり、ヘッドスピードが上昇したとしても、ボール初速度が加速するとは限らない。[ボール初速度]を引き起こす要因は[衝撃エネルギー]にある。
[衝撃エネルギー]とは、インパクト時にどれだけのエネルギー量がボールに伝達されるかである。ボール初速度を生み出す衝撃エネルギーとは(速さ/衝撃パワー/ミート率)である。タイガーの示唆するインパクトの瞬間の手ごたえ感とは、スィートスポットへの命中率[ミート率]のことである。

「ボール初速度」の発生するメカニズムは、「クラブヘッドの衝突による衝撃度により、ゴルフボールが変型する。この時にその歪みを元に戻そうとする反発力が生じる。反発力によりボールが飛び出す速度がボール初速度」である。インパクト時に優れた衝撃エネルギー(速く、強く、大きい)が生じれば衝撃度(インパクトパワー)も拡大し、ボールの反発力も大きくなり、飛び出す速度(初速)も速くなる。このスピードが飛距離を決める。

[衝撃エネルギー]は、ニュートン運動エネルギーの方程式[E=1/2mv2]で表すことができる。このエネルギー伝達理論をゴルフに置き換えると、クラブヘッドの質量(m)とクラブヘッドの移動速度(v)が増大すれば、ボールに伝達されるエネルギー量(E)が増大することを表している。[質量(m)=ヘッド重量=パワー]と[移動速度(v)=ヘッドスピード上昇]がエネルギー量(E)を拡大する要素である。

ボール初速度を上昇させるには、プロ並みの並外れた運動能力、スイングスキル(軌道/ミート率)とクラブヘッド/シャフト性能(デザイン/構造/フェイス素材/シャフト)など様々な条件をクリアーしなければ達成できない。
s程度で飛距離280ヤード飛ばしている事実がある。飛距離がヘッドスピードの速さだけが要因でないことは明らかだ。

エキスパートはゴルフスキルの絶対的な条件は[正確なスイング軌道]と唱えている。スイング軌道の[正確度]はゴルフの基本中の基本であり、レッスンプロが初心者に第一に指導する最重要課題である。スイング軌道の[正確度]には3つのポイントがある。スイング軌道から外れる[ブレ]、フェイス向き(角度)の[ズレ]、スィートスポットを外す[ミス]である。この[ブレとズレとミス]が発生すれば「飛距離UP3要素」全てにトラブルが発生し、ボールは左右に曲るだけでなく飛距離は大幅に減少する。

アベレージ・ゴルファーの[軌道ブレと角度ズレ]はどれ位あるのだろうか。
スイング軌道を分析調査したアメリカの研究結果では、「スキルレベルに応じて3度から8度の[ブレとズレ]が発生し平均的なゴルファーは[平均5度のブレとズレ]が確認された」と報告している。要は、ドライバーの飛距離UPに重要なことは、最小限に[ブレやズレ]を抑えるクラブ選択を心掛けることにある。エキスパートは、「ブレとブレを最小限に抑える有効な手段はクラブ長さと重さの調整にある」と指摘している。

飛距離UPには、ボールを芯で捕らえるミスの軽減と方向性重視するブレとズレがポイントであることは間違いないだろう。[ヘッドスピード上昇]はプロ並みの運動能力を身に付けても実現が困難な現実を見据える必要がある。能力不足を長尺クラブに頼ることで解決できる問題ではない。
飛距離UP秘密の基本の基本は、スイング軌道の[ブレとズレ]を最小限に抑制する[短めのクラブ]と衝撃パワーを生み出す[重めのヘッド]にある。