2011年12月31日土曜日

「優しいクラブは上達しない」と言う神話の話

バランスの取れた「心技体」があらゆるスポーツ上達の鍵であることは、異論の無いことだろう。相撲やサッカーであれば「精神力・技術力・身体能力」の差が優劣を決めることになる。しかし、ゴルフは「心技体」だけで無くメンタルの強靭さと「道具力」が求められるスポーツと言われている。ところが、短絡的なバックスイングのトップの位置とか。ダウンスイングの手の動きなど技術論」ばかりが議論されている。

「技術論」は説明がしやすく理解しやすいこともあるが、「技術論」にうん蓄を傾けるのが好きな国民性もある。一方「道具論」を語るには、専門的な知識や科学的な根拠(データー)が求められるために一般的に議論は難しく敬遠される傾向にある。
この為、最新テクノロジーを駆使して開発されたゴルフクラブを使いこなすには、それなりのテクニックが必要とする「技術論」が多くの共感を集めている。一見、正論のように聞えるが、プレーへの集中力を高めるだけでなく、高度なテクニカルスキルの習得なくしてゴルフの上達は望めないことになってしまう。

正に、本末転倒である。ゴルフクラブの歴史を紐解けば明らかなように「ゴルフクラブは技術力を補う道具」である。
1800年にドライバーの原型「プレークラブ」が考案されたのも、1850年のヒッコリーシャフトも1891年に「バルジャー・ドライバー」が考案されたのもゴルファーがゴルフを楽しむための改革の結果である。
1922年プロゴルファーのジーン・サラゼンがサンドウエッジを開発したのは、自分のバンカースキルを補うのが目的であった。1965年に開発されたグラスファイバー製「ワンダーシャフト」はアマチュアのためのイノベーションであり、キャビティアイアンもワイドソールも、グースネックも1979年メタルヘッド開発も重量調整型チタンヘッドの開発も全てアマチュアゴルファーのスキル向上を願った先人の知恵の結晶である。

近年の日本ゴルフ界の低迷原因は、デパートの化粧品ショーケースに並ぶような「美しい商品」を是とする商品開発にある。この10年間日本の商品開発は、塗装の仕上がりや細部の仕上げにこだわる商品を[高性能良品]として、販売を伸ばし市場を形成してきた。
欧米では過去に世界の名ゴルフクラブと呼ばれたマクレガーやスポルディング、ピング、キャロウエイの改革者により、歴史に名を残す有数のプレーヤーを輩出してきた。ところが、日本の[愚品開発]思考は高度なテクニカルスキルが必要とされる「軽量ヘッドや長尺ドライバー」の商品化に明け暮れ、ゴルフ人口の減少とゴルフの衰退に拍車をかけている。

ゴルフクラブの開発の本質は[ゴルフを楽しくサポートする道具]にある。世界の潮流はこの方向に向っている。しかし、[愚品開発]を遂行する日本のクラブメーカーは、「技術論」を隠れ蓑に「優しいクラブは上達しない」とする風評を流布している。
アジアの中で韓国勢の台頭は著しく、男女プロゴルファーのレベルは欧米に継ぐ第3勢力の位置を固めつつある。反対に日本は世界ゴルフ界の3等国に成り下がったしまった。このまま[愚品開発]を続ければ、日本のゴルフクラブメーカーは携帯電話や家電製品のように近年中に韓国製品に取って変られることになるだろう。

高スキルの熟練者に適した[道具]もあれば、未熟なスキルを補佐する[道具]もある。
今、ゴルファーに求められるのは、「スキルが先か。道具が先か」のCatch 22思考に囚われるのでは無く、適正な[道具]を判別する直観力と明確な判断基準である。
欧米とのイノベーション競争を放棄し「ゴルフクラブの本質」の追及を忘れた日本のゴルフ界に未来はあるのだろうか。

2011年12月8日木曜日

何故、日本のゴルファーは思考停止させられているのか。


アマチュアゴルファーの関心ごとNO.1は「飛距離」にある。
日本とアメリカには、「飛距離」の認識に微妙な違いがある。ゴルフ理論や科学的な検証に差がある訳では無いが、飛距離を生み出す要素に対する理解度に大きな差があり認識の違いを生み出している。

飛距離UPを実現には、[ヘッドスピード/スピン率/打ち出し角/ボール初速度/ミート率/衝撃度/反発力/スイング軌道の安定度]など多様な条件がある。ところが、日本の報道は90%以上が「ヘッドスピード」が条件とする偏った報道が行われている。ヘッドスピードの速さ]が唯一の絶対条件ではないことは科学的に実証されているが、日本には多様な情報を伝える「報道の仕組み」が存在しない。この為、画一的な横並びの情報が消費者の判断を誤る方向に導いている。
[飛距離UP=ヘッドスピード=軽量シャフト=長尺ドライバー]
ゴルフ業界の意思として(大手クラブメーカー・シャフトメーカー)一丸となり、宣伝広告が行われている。そして、ゴルフ関連の雑誌媒体も同調し広告主(メーカー)の利益優先の特集報道を企画し横並びの情報を発信している。こうした情報がゴルフ業界全体に蔓延すると、90%以上のゴルファーは[長尺ドライバー]を飛距離UPの絶対条件と信じ込む様になる。そして、[長尺ドライバー]は安定した売り上げを伸ばしている。

米国にはUSGA・PGA・PCSを始めとする公的機関や専門の研究機関が多数あり、それぞれの研究機関が独自に研究したデーターや知識を発表する「報道の仕組み」を持っている。「報道の仕組み」の利点は、受け手側に[情報の質]を思考するプロセスが生まれることにある。つまり、日本とは異なり偏った画一的な情報が報道されることは少ない。日本には、多種多様の情報を発信する公的機関や専門の研究機関が存在しないだけでなく、多様な情報を発表する公平な媒体(雑誌やHPなど)も存在しない。横並び報道は、特定の個人をバッシングする政治報道や福島原発事故や薬害報道に顕著に見られる隠蔽過少報道の危険をはらんでいる。つまり情報の受け手側に疑問を起こさせない[思考停止状態]に落とし入れる危険を含んでいる。飛距離UPを実現する多様な情報を伝える「報道の仕組み」が無ければ、業界ぐるみの意図的な情報操作が行われることになる。

アメリカの公表データーでは[飛距離UP=長尺ドライバー]とは全く異なる結果が導き出される。
タイガー・ウッズ:[ヘッドスピード:57.5m/s ミート率:1.48~1.50(約94.5~96%) 飛距離:293.7~305ヤード
米国LPGA(女子プロ):[ヘッドスピード:42~45m/s前後 ミート率:1.45~1.50(約93~96%) 飛距離:250~280ヤード]
一般アマチュア(男性平均):[ヘッドスピード4048m/s前後 ミート率:1.11.4ポイント(70.589.7%) 飛距離:185260~ヤード](*キャリー飛距離でランは含まず)
上記データーを比較した時、ヘッドスピード42m/s前後のアマチュア飛距離が200ヤード前後になり問題はミート率にあるのが解る。データーを比較すれば明らかなように、女子プロはヘッドスピードの速度不足をミート率で補うことで飛距離を確保している。アマチュアと女子プロのヘッドスピードの差はほとんど無いことからも、[ヘッドスピードよりミート率が飛距離に影響を与えている]ことは歴然としている。

ミート率に対する理論上の飛距離概算式[ボ-ル初速度(HSPTI)X4=飛距離]

ミート率を高めるクラブスペックとは、自分のスキルレベルに合った適正なクラブ長さである。(流石にミート率を高めるのに長尺クラブが有効とする情報は発信されていない)ミート率を高めるには、[ボールの芯~クラブの芯~フェース面上の芯の同一ライン上]ヘッドを走らせるヘッド軌道(スイング)を身に付ける必要がある。ヘッドの芯で打つには、クラブヘッドの捻れを減少させる高慣性モーメント・クラブヘッドの選択が重要である。そして、適正な打ち出し角を得るロフト角とフェイス角の選択。また、硬すぎるシャフトはミート率を低減させるから、適正な硬さのシャフトを選び、適正なクラブ長さに調整することが重要になる。軽量シャフトによるHSの上昇率は、最大約8%とされている。[HS42m/s1.0845.36]に上昇を実現してもミート率が[1.1ポイント]に減少すれば、飛距離は[199.5ヤード]になり実質飛距離は減少する。20%のパワーロスを生じさせる。オフセンターヒット率を軽減することにより、ミート率を高め、ボール初速度が上昇し飛距離UPに繋がる。

プロスキルレベルNO.1身長186cmのタイガー・ウッズは[44.5インチ]のドライバーを使用している。身長比率からすると[46インチ以上]の長さになるが[ミート率]を高めるスペックでクラブを制作している。
 [長尺ドライバー]を手にした90%以上のゴルファーは飛距離UPを実現していない。何故ならば、飛距離UPに必要な全体の情報が開示される「仕組み」が存在しないからである。情報の画一性・横並び体質は、災害報道や政治報道などで育まれてきた日本独自のDNAである。横並び報道の危険を回避するには、政府発表の大手メディア報道に感覚をマヒさせられた[思考停止状態]から消費者ひとりひとりが抜け出す必要がある。

2011年11月4日金曜日

[エンジン神話]の話


「シャフトはゴルフクラブのエンジンである」
シャフト性能をエンジンに喩えた「神話」がある。果たして、シャフトにパワーを生み出す能力があるのだろうか。

エンジンの能力差は、容量や馬力の大きさにより明確に判断できる。ところが、シャフト性能は明確な判断基準が存在しない。冷静にシャフト性能を判断すれば、動力機関のような能力が存在しないことは明らかである。個々のゴルファーの身体能力や体力により生み出されたパワーは、ゴルファーの手から[シャフト~クラブヘッド~ゴルフボール]に伝達される。シャフト能力を強いて言えば、パワー(HS速度)を生み出す働きより、パワーを伝達するトランスミッション機能だろう。
「シャフトはエンジンである」と信奉する人は、「シャフトが僕のゴルフにこれだけの違いをもたらしたのなら、全てのゴルファーに重要な要素である」と考える。本当に改良が認められたのだろうか。元々不適切なクラブ調整がシャフト交換により、適正に調整されたことが要因だろう。

米国PGAは、[シャフト]のスイング動作に対する影響度に関する工学的見地に基づく科学的な検証を発表した。スイングに与える影響度のNO.1要素に「シャフト重量」を挙げている。シャフト重量は、ゴルフクラブの総重量とヘッドの重量選択に非常に大きな影響を与えると指摘している。
軽量ゴルフクラブの使用により大半のゴルファーにヘッドスピードの上昇が見られたが、ミスヒット率(オフセンターヒット)の著しい増加が計測された。「タイミングとテンポ」が保てる[適性重量のクラブ]を選択した時、ボールセンターへの[命中率(ミート率)と飛距離UP]の改善が計測された。実験結果では、飛距離の伸び率はヘッドスピードの上昇より、[ミート率]を高める方が効果が上がることが実証された。

シャフト「フレックスとベンドポイント」打ち出し角スピン量の影響度に関しても検証された。
検証結果は、シャフトを操作できる高スキルの一部のゴルファー(プロレベル)に限り、打ち出し角スピン量の影響が確認できたが、その影響度は非常に僅かであることが判明した。ダウンスイング始動時に手首のコックの返しの早い大半のアマチュアゴルファーには[打ち出し角やスピン量]への影響変化は全く見られなかったと報告している。

現在、あたかも[高価格シャフト]を使用すれば、適正な[打ち出し角や[スピン量が得られるような宣伝が行われている。http://ustmamiya.jp/brand/attas.html#pl06

洗練された宣伝文句は、最新の高価格シャフト($300~$500)を購入さえすれば「高打ち出し角」や「低スピン量」が実現する錯覚を与えている。オブラートに包まれた甘い表面的な部分情報を流し、全体像を歪める「情報操作」が当然のように行われている。日本人はマスメディアや大手企業の情報に疑いを持たない習性があり、こうした悪徳商法が横行している。欧米では見られない現象である。自己判断する[知識と情報力]が求められる時代であることを認識することが重要だろう。


現時点シャフトはロフト角(打ち出し角)を変化させる性能がないことは明らかにされている。
クラブ制作のエキスパートは、「飛距離UPと安定度」を求める時に重要なことはスイングをサポートするクラブを手にすること」と語っている。軽過ぎるクラブはHSが速くなるがスイングの安定度に問題が起り、重過ぎるクラブはスイングのテンポ、バランスに問題が生じる。と指摘している。

この問題点を解決するシャフト選択の基本条件は、
1)シャフト重量の選択
2)シャフトのベンド・プロファイルの選択(シャフトしなり度/調子の選択)
3)シャフトの硬さの選択(フレックス)
4)シャフトのトルクの選択(捩れ/硬さの選択)
5)シャフト重量の配分バランス
将来的にコンピュターチップの内蔵されたシャフトが開発されれば「魔力」を秘めたシャフトも誕生するだろう。現時点で重要なことは、高価格シャフトの宣伝に一喜一憂するのでなくシャフト選択の基本条件]を検証することだろう。

2011年10月18日火曜日

アメリカの心理学者に学ぶ 5


緊張感を緩和させるには・・・・・・
ゴルフの最大の敵は「緊張感」と言われている。
「朝一番のティショットの緊張感」
「バーディを決めるここ一発のショートパットで、緊張し外してしまう」
「池越えのショートホールで、池に萎縮し”池ポチャ”を繰り返してしまう」
「両サイドOBのパー5のティショットで、OBを連発してしまう」
極度の緊張状態に陥り、ミスを繰り返してしまう。プロのトーナメントでなくても、こうした経験は誰にでもあるだろう。
こうした緊張(ストレス)状態を緩和させるにはどうすれば良いのだろうか?

緊張状態を緩和させるポイントが2つある。
NO.1は「信頼できるクラブ」を手にすることである。長過ぎたり重過ぎたり軽すぎるクラブは、不適正なゴルフクラブになる。不適切に調整されたゴルフクラブは、信頼度が薄くあらゆる局面で不安を抱かせ、スイングや弾道の乱れを引き起こす。
「ちゃんと飛ぶのだろうか。150ヤード飛ばせるのだろうか・・・・・・・。」
こうした不安を抱えながら、ショットに立ち向かえば好結果が得られないことは誰にでも解ることだろう。
適正に調整されたゴルフクラブは、ゴルファーに「Confidence」(信頼感・安心感)を与えショットの不安を取り除くパワーを秘めている。ゴルフクラブに対する「Confidence」は不安状態を解消する上で重要な要素になる。 
NO.2は「精神の安定状態」を保つ(取り戻す)術を知ることにある。英語で「calm down」とか「cool down」と言われる時に「深呼吸する動作」を伴って使用されることが多い。ゆっくりと「深呼吸」することにより、心身ともに素早くリラックス状態に入り、精神を落ちつかせることが出来る。
(画像をクリックする)
ジム・レーヤー博士(Jim Lcehr/著書Take A Deep Breath)は、「人間がリラックする上で重要な要素は[酸素]である。そして、深く呼吸することで身体もマインドもリフレシュすることができる」と、指導している。
博士は、「ヨガの哲学では三千年も前から”生命の宿る呼吸”をコントロールすることが、健康、落ち着き、明晰な思考を手にする鍵とみなしてきた。緊張は肺を圧迫し体内に戦争状態をつくり出し活動を限定する」と語り、「人間には本来、ふだん吸い込む7倍の酸素を取り込める能力が備わっている。ところが、身体を維持するだけの最小限の空気しか吸い込んでいない。この為、体内に毒素が蓄積され、緊張に身体が支配されている」と指摘している。つまり、体内の毒素を吐き出すことにより、緊張を緩和することを可能にする。
博士は、「眠っている赤ん坊を見るとわかるが、空気は肺全体を満たし、自然な健康的な呼吸が行われている。生まれた時は誰もお腹一杯に空気を取り込む「腹式呼吸」を行っている。この「腹式呼吸」を習慣づけることにより、リラック状態を保つことができる」と、指摘している。
“腹式呼吸法”
1. 仰向けに寝るか、楽な姿勢で立つ、両手をお腹の上に置く。
2. ゆっくりと深く鼻から息を吸い込み、お腹を風船のようにふくらませる。
3. ゆっくりと徐々に息を口から全て吐き出す。(体内のよどんだ空気を吐き出す)
4. 楽に息を吸い込み、再びお腹をふくらませる。
5. 息を吐き出しながら、お腹をしぼませ、空気を押し出す。
6. 数を数えながら[1,2,3,4で吸い込み][5,6,7,8で吐き出す]

普段から腹式呼吸を練習しておくと、いつでも簡単にリラックスした状態に入ることができる。腹式呼吸のポイントは、一気に空気を集めるつもりで、大きく、そして深く目一杯息を吸い込み。そして溜まった息をゆっくりと吐き出すこと。腹式呼吸で身体全体に酸素を送り込むことが、ゴルフの最大の敵「緊張感」を解きほぐす「術」である。「腹式呼吸」の習慣化がリラックス状態をつくることに繋がる。赤ん坊の時にしていた自然な呼吸を取り戻すことが、リラックスする第1歩である。

2011年9月26日月曜日

ドライバーシャフト選択[ガイドライン]


ドライバー購入時の検討事項の課題は[価格と適正スぺック]にある。欧米ではゴルフクラブのカスタマイズが常識化している。初心者がゴルフクラブ購入にショップを訪れると、靴を購入する時に足の大きさを測るように床から手首までの長さを計測する。
身長や腕の長さに合わせて適正な長さに調整することからゴルフクラブの選択が始まる。この身体に合わせる「クラブ・フィティング」のコンセプトは、ゴルファーに「適正スペックの知識」を与えるだけでなくゴルフクラブの「選択眼」を養うことに役立っている。

一方、日本のゴルフショップは「クラブ・フィティング」をあまり重視する傾向にない。「クラブ・フィティング」が重要視されないのは、識者であるゴルフ評論家とゴルフ情報誌の責任が大きい。専門家の公平な立場から「クラブ・フィティング」の重要性を説く評論家は少なく、大半の評論家は大手メーカーのお抱え評論家に成り下がり、「販売至上主義」のお先棒を担でいる。販売至上主義の弊害は不適切なスペック商品に疑問を持たないゴルファーの増加にある。ゴルフショップはゴルファーの為の商品販売ではなく、売りたい商品を売る「販売至上主義」にはしり、不適なHS数値やスペックを提示することに罪悪感を感じない「業界体質」を作り出している。ゴルファーは販売至上主義に毒され「何処のブランドにするか」を選択基準にしている。

「クラブ・フィティング」のコンセプトを理解することとドライバーシャフトを選択することは密接な関係にある。
ドライバーが極端に安定しない」悩みを抱えているゴルファーに共通する特徴がある。HSの速度や体力査定に関しては、自己力を良く見たいとする願望が強く、甘い自己査定を行う傾向にある。ドライバー飛距離やHS測定値の申告時に、平均値や最低値ではなく自己最高値を申告するゴルファーが95%を超える。
ゴルフプロファイルを質問すると米国PGAプロ並みのヘッドスピードHS46]を申告する。平均的な体型(170cm/65kg)の平均的な実力のゴルファーが、シャフト選択を間違える要因が此処にある。この数値を基準にシャフトを選択すれば、必ずオーバースペックの「硬いシャフト」を選択することになる。

アマチュアのシャフト選択ミスのNO.1[フレックス/硬さ]である。
ジャック・ニコラウスは、「私はエキストラステッフ(X)を使いこなせたことはない。硬過ぎるシャフトはクラブヘッドの重さを感じることができずに、腕や手だけのスイングになってしまう。私は何時も、柔らか目の(SR)のシャフトを使用している」と語っている。
70歳を超えたジャック・ニコラウスに対抗できるアマチュアが何人居るだろうか。計測数値(46/秒)に踊らされニコラウスほどの実力もスキルも無いのに「見栄や外聞」で振り切れない硬い[Sシャフト]を選択するゴルファーが大半を占めている。こうした愚かな過ちを犯さないためには「冷静な決断力」が求められる。

硬すぎるシャフトは、[A.高ロフト角を使用しても低弾道で飛行し飛距離が伸びない。B.右利きの人)ボールが落ち際に右に切れる球筋になる。C.ショット時の打感はソリッド感に欠けた不快な違和感を伝達する]
反対に柔らか過ぎるシャフトは、[A.あらゆるロフト角で高い弾道で飛行する。最適打ち出し角に近づくことにより飛距離UPに繋がる。B.インパクト時のシャフトのしなり度が大きくドローボールになる確率が高くなる。C.打感はより手応えのある[ソリッド感]を得ることができる]
硬すぎるシャフトより柔らかいシャフトを選択する方が「シャフト選択のミスは軽減」できる。
何故ならば、「硬すぎるシャフトは適切な打ち出し角を阻害する」が、「しなり度の大きいシャフトは曲がり度合いを減少させる」特性があるからである。

「適切なヘッドスピード/実戦飛距離」に基づく[ガイドライン]である。適正度の高い適切なシャフトを選択することにより[飛距離UP・安定度の向上]が期待できる。
シャフト選択ガイドライン
実戦HS数値
平均実戦飛距離
フレックス
重量
トルク
キックポイント/調子
60mph以下
26.82m/秒以下)
150ヤード以下
Lフレックス
49g以下
5.5°以上
Lowキック(先調子)
60~75mph
26.82~33.53)
220ヤード以下
Aフレックス
50~70g
4.5~5.2°
Low/LowMid(先中)
75~90mph
33.53~40.23)
250ヤード以下
Rフレックス
55~77g
3.6~4.6°
Low/LowMid/Mid(中調子)
90~105mph
40.23~46.94)
250ヤード以上
Sフレックス
56~85g
3.0~4.2°
LowMid ~MidHigh(中元)
105~115mph
46.94~51.41)
300ヤード以上
Xフレックス(*)
80g以上
3.0°以下
Mid~Highキック(元調子)

LDA競技者かプロゴルファーレベルの上級者。一般アマチュアは考慮に入れる必要は無い
**一般的な法則は、HS実戦数値とキャリーの実戦飛距離から総合的に判断する。例)平均飛距離が250ヤードを超えても、HS40であれば[Rフレックス]を選択する。
***室内計測値15~20%削減数値を使用する。

シャフト選択最良の方法は、スイング動作の分析・正確なヘッドスピードの計測身体能力の査定]に基づくシャフト選択法にある
このシャフト選択[ガイドライン]をベースに、スイング動作の分析と身体能力の査定を行うシャフト選択法を参照することで、適正度の高いシャフトの選択が可能になる。 

2011年9月19日月曜日

ドライバーシャフト選択[基本条件]の話


ドライバーシャフトの仕様は、非常に解り難く、選択基準が不明確に成りやすい特徴がある。
PGAプロのシャフト選択規準は、「飛距離と安定度」を総合的に捕らえている。その為、全ゴルフクラブの「振動数計測」や「MOIマッチング」などのテクノロジーを活用している。
一方、アマチュアのシャフト選択は「飛距離」を求める傾向が強く、曖昧な室内計測のヘッドスピードを基準に選択し、シャフト選択の失敗を繰り返す傾向がある。ひとつには、プロと同等のテクノロジーが簡単に活用できない状況もあるが、大きな要因は「飛距離」に焦点を当てた宣伝広告に毒され、冷静で公平な[選択基準]を持たないためだろう

シャフト選択の基本条件は「シャフト仕様」の理解を深めることにある。シャフトの基本仕様は[フレックス/重量/トルク/キックポイント]がある。バランスの良い適性度の高いシャフトは、スイング動作中のクラブヘッドの位置とインパクト時のクラブフェイスの向き(スクエア)」を去勢する働きがある。反対にゴルファーの適正に合わないシャフトは、スイングが暴れインパクト時にクラブフェイスの向きがスクエアに戻らずに「方向性と弾道」に問題を発生させる。

シャフト選択の適正度は、スイング動作の分析・正確なヘッドスピードの計測身体能力の査定 の検証を行いながら、スイングにマッチした[硬さ/重量/捻れ度/調子]を選択することにある

アマチュアのシャフト選択ミスのNO.1[フレックス/硬さ]である。

ジャック・ニコラウスは、「私はエキストラステッフ(X)を使いこなせたことはない。硬過ぎるシャフトはクラブヘッドの重さを感じることができずに、腕や手だけのスイングになってしまう。私は何時も、柔らか目の(SR)のシャフトを使用している」と語っている。
70歳を超えたジャック・ニコラウスに対抗できるアマチュアが何人居るだろうか。計測数値(50m/秒)に踊らされニコラウスほどの実力もスキルも無いのに「見栄や外聞」で振り切れない硬い[Sシャフト]を選択するゴルファーが大半を占めている。こうした愚かな過ちを犯さないためには「冷静な決断力」が求められる。

「硬さ」を示す記号が[フレックス](L/A/R/S/X)だが、直接的、間接的に弾道の安定度と飛距離に影響を与える。フレックスは業界統一された[基準]ではなく、各メーカー毎に異なる「曖昧な基準」であることを理解しておく必要がある。
スムーズなスイング性格であるならば、スイング速度が速くとも「ソフトなフレックス」を選択する。弾道が「左方向」に行くケースは「ハードなフレックス」、「右方向」に行くケースは「ソフトなフレックス」を選択すると好結果が期待できる。

「重量」はドライバーの総重量と安定度に影響を与える。振り切れる範囲でクラブを重くすることが安定度に繋がる。一般的に、重すぎるとダフリや右へのミスが増加し、軽すぎると左へのミスが増え安定度に欠けることになる。ドライバーは長くなれば、軽くなければ振り切れなくなる。つまり、長尺に成れば成るほど安定度が悪くなる。アイアンからドライバーの「重量調整」派密接な関係にあり、アイアンとドライバーに極端な重量差が生じると振り難さが増大する。一定のリズムに基づく、クラブ長さに対する適正な「シャフト重量」の選択が重要に成る。


●[トルク]どれだけ捩れ易いかを示す「数値」である。トルクの数値が大きいほど捩れ易く、数値が小さいほど捩れ難くなる。トルクの数値は球の方向性や曲がり方に影響を与える。
チップ側が軟らかい(トルクが大きい=先調子)のシャフトは球の捕まりが良く、反対にチップ側が硬いシャフトは球の捕まりが悪くなる。これはチップ側のトルクが小さ過ぎて、ダウンスイング時にシャフトが十分に捩れずに、捩れ戻りが少なくなる。結果、スライス系の弾道になる。例えばヘッドスピードが遅いゴルファーが3.0以下の低トルクシャフトを使用すると、ボールは右に曲がることが多くなる。この理由は、シャフトが十分に捩れずに捩れ戻りが少なくなり、フェースが右を向いた状態でインパクトを迎えスライス弾道になる。
スライス系のプレイヤーは、チップ側が軟らかくトルクが大きいシャフトが適し、フック系のプレイヤーは、チップ側が硬くトルクが小さいシャフトが適すことになる。


●[キックポイント]は「しなり度」の調子の性格を表す。調子Low Kick Point)中調子(Middle Kick Point)元調子High Kick Point)があり、弾道の高さに影響を与える。
調子は球のつかまりが良く、どちらかと言うと右が怖いプレイヤーに適した高弾道タイプになる。反対に、元調子は球のつかまりが悪く、どちらかと言うと左が怖いプレイヤーに適している。また、元調子は手元側でしなるため、インパクトロフトが大きくならずに低弾道になる。中調子は、先調子と元調子の中間になる。

これらのシャフトの基本仕様[フレックス/重量/トルク/キックポイント]を理解した上でスイング動作の分析・正確なヘッドスピードの計測身体能力の査定 の検証を行うことにより、適正なシャフト選択が可能になる。
但し、幾ら[高性能・高価格シャフト]を使用しても、クラブヘッドのスィートスポットを拡大したり、ロフト角を変えるほどの[魔力]は無いシャフトが適正な[打ち出し角]を作り出すことできない。
軽量シャフトによりヘッドスピードは向上するかもしれないが、[ボールスピード]が上昇するとは限らない。弾道の安定度はシャフト性能より[クラブヘッド]の働きが重要なことは科学的に実証されている。 


シャフト選択の[基本条件]とは、こうしたシャフト性能の限界を理解した上でシャフトを選択することにある。[実戦HS数値と平均実戦飛距離]に基づくシャフト選択の[ガイドライン]とは・・・・・・。