2011年1月29日土曜日

グラファイト・シャフト選択法の話

リシャフトさえすれば、ドライバーの飛距離も方向性も安定し全ての問題が解決する。

こんな風説が巷に流れている。

昔、「ハレー彗星」の接近に地球滅亡・人類滅亡の風説に踊らされ、愚かな行動をした人が沢山居た。

あなたはこんな「風説」に踊らされていないだろうか?

「シャフト交換だけで問題が解決することは無い」と、クラブビルダーは断言している。


シャフトを交換しただけで飛距離や弾道が良くなったケースがあるのだろうか。実際の所、交換前と交換後の統計データーがある訳では無いから分からないのが現状だ。確かに、シャフト交換によりクラブの長さ重さ調整れ、ゴルファーの適正値に近づくことはあるだろう。しかし、適正なクラブフィティングに基づきシャフト交換が行われるケースは少ないようだ。その証拠にリシャフトは一時的な効果しかなく、何度もシャフト交換を繰り返すゴルファーが後を絶たない。



この原因は、シャフトの選択法の解り難さにある。

標準となる[選択基準]が確立されていない。これが多くのゴルファーを惑わしている原因だろう。

アメリカにTom Wishon(カスタムクラブ制作の第一人者)の提唱する理論的なプログラムがある。

クラブフィティングの専門的な知識・技術を有するクラブ制作の専門家を対象にしたプログラムである。全米中のクラブビルダーが採用している訳ではないが、一般ゴルファーにも役立つプログラムである。個人的な解釈に基づくがプログラムの概略を紹介しよう。(実際の[シャフト・フィティング]の指導は、Tom Wishon氏の指導を受けたクラブビルダーに相談すること)



トムは、「クラブ製作者にとって、クラブフィティングする上で最も困難で解り難いのが(シャフト・フィティング)である」と指摘している。但し、「正確なシャフトの知識を習得すれば、ゴルファーの求めるフィリング、スイング、スキルレベルに近いシャフトを選択するのは難しいことではない」と語っている。


シャフト選択とは、ゴルファーにマッチしたシャフト機能を見極めることにある。


その方法は、①スイング動作の分析②正確なヘッドスピードの計測③ゴルファーの身体能力の検定 である。スイング動作を[トップの切り替えし/ダウンスイングのテンポ/リストコックのタイミング]に分類し3レベルにカテゴライズすることにより、[スイング性格]を分析する方法を提唱している。


Step1:正確なヘッドスピードの計測

ウッドシャフト:ドライバー/3WD 。

Step2:ダウンスイングの切り替えし評価

(1)スムーズ・タイプ:トップ切り替えしポイントで[一拍置くか。シャフトしなり度が少ない]タイプ。

(2)アベレージ・タイプ:切り替えしポイントで[一拍置くことがなく。ダウンスイング開始を待てずに加速する]タイプ。

(3)攻撃的タイプ:力強い切り替えしで[シャフトしなり度が大きく。ダウンスイング開始と共に強く打ちに行く]タイプ

Step3ダウンスイングのテンポ評価

テンポ評価は、ゴルファーのHSに合ったシャフト選択やゴルフクラブ制作時の[クラブ長さ・総重量・スイングウエイト]などを確定する要素になる。

(1)スムーズ・タイプ:スインガー・タイプのリズミカルでインパクトでの加速が少なく、[1.2秒以上でスイングするタイプ]

(2)アベレージ・タイプ:インパクトでコントロールを意識しながら多少加速する[0.9~1.2秒でスイングするタイプ]

(3)攻撃的タイプ:スイングテンポが速くダウンスイングが攻撃的で、加速しながらボールを打ちに行く[0.9秒以下でスイングするタイプ]

Step:リストコックのタイミング

リストコックのタイミング評価は、シャフトのベンド・ポイントと弾道タイプを見極める要素になる。

(1)アーリータイプ:リストコック(手首の反し)がダウンスイング開始と共に始まる。あるいは腕が腰の位置に来る前にクラブが伸びきっているタイプ。

(2)ミッドタイプ:ダウンスイング開始時にはリストコックが保たれ、腕が腰の位置に来た時点から、手首の返しが始まるタイプ。

(3)レイトタイプ:リストコックの角度を腕が腰の位置を過ぎたポイントまで保てるタイプ。

Step5:身体レベルの検定
身体の柔軟性、安定度、体力やクラブを振る力・握る力の検定。
(1)ローレベル:アベレージ以下の女性や一部のシニアゴルファー。
(2)アベレージ:一般男性、女性、シニアゴルファー。
(3)ハイレベル:アベレージ以上のアスリートな男性、女性ゴルファー。
Step 6:シャフトの選択
このプログラムは、ゴルファーの各カテゴリー[ダウンスイング/テンポ/リストコック/身体レベル/ヘッドスピード]のレベル選択し、その組み合わせにより[適正シャフト仕様]を表示するプログラムである。
[ダウンスイング/テンポ/リストコック/身体レベル]を[1/2/3]の3段階と実戦ヘッドスピード(22.36~53.64m/秒)の組み合わせに基づきゴルファーの[適正シャフト仕様]を表示する。前提条件は適正なクラブ長さとヘッドスピードの実戦数値の適用。 

適正シャフト仕様
ダウンスイング
1:スムーズ
2:アベレージ
3:攻撃的
テンポ
1:スムーズ
2:アベレージ
3:攻撃的
リストコック
1:アーリ
2:ミッド
3:レイト
身体レベル
1:ローレベル
2:アベレージ
3:ハイレベル
ヘッドスピードm/秒)
22.36(50mph)
 ~
53.64(120mph)
 検証方法は、①ゴルファーのスイング性格[ダウンスイング/テンポ/リストコック]にもっと近いレベルを選択する。②身体レベルの選択。③ヘッドスピードのレベル選択 を行う。例えば、[ダウンスイング:1.5/テンポ:2/リストコック:2]と[身体レベル:2]に[ヘッドスピード:40.23m/秒]を選択した時に、[適正シャフト仕様]が提示される。 

ダウンスイング
1~1.5
テンポ
1.5~2
リストコック
2

身体能力
2

ヘッドスピードm/秒)
40.23
適正シャフト仕様
トルク:4.0~4.6
重量:55g
フレックス:R
キックポイント:Low~Mid
ヘッドスピード:40.23m/秒]が同じでも、[テンポ:3]と[身体レベル:3]と平均以上のパワーがあれば、適性シャフトの仕様が異なる。つまり、ゴルファーのスイング性格と身体能力(レベルとHS数値)が変化すれば、当然適正シャフトが変化するシステムである。
ダウンスイング
2
テンポ
3
リストコック
2

身体能力
3

ヘッドスピードm/秒)
40.23
適正シャフト仕様
トルク:3.4~4.0
重量:74~79g
フレックス:R
キックポイント:Low~Mid
上記の表を検証すると分かるが、ゴルファーの「身体レベル」と「スイング動作」をレベル別に分類することにより、より明確な分析が可能になる。従来の「ハードヒッターとスインガー」に分類する一般的な選択法は、根拠が非常に曖昧でありヘッドスピードだけで選別するのと大差が無い。
シャフト選びにこだわるのは良いが、風説に惑わされ、シャフトを過大評価しないことを肝に銘じておく必要がある。幾ら、適正なシャフトを選択しても、クラブヘッドのスィートスポットを拡大したり、ロフト角を変えるほどの[魔力]は無い

ジャック・ニコラウスは、「私はエキストラステッフ(X)を使いこなせたことはない。硬過ぎるシャフトはクラブヘッドの重さを感じることができずに、腕や手だけのスイングになってしまう。私は何時も、柔らか目の(SR)のシャフトを使用している」と語っている。

クラブヘッドの選択もシャフトの選択も同様であるが、基本は「ゴルファーのスキルと身体能力」を見極めることにある。
その為に必要なことは、自分自身の実力を認める「強いマインド」が要求される。

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