2011年8月13日土曜日

アメリカのスポーツ心理学者から学ぶ 4


[イメージ・トレーニングの話]

ハーバード大学メディカルスクール脳科学研究室のSara Lazar博士は、「ゴルフのスイングがギクシャクしスムーズな動きを作れないのは[スイングをイメージする]ことの難しさにある」と、語っている。
正確にスイングをイメージするには「脳」に記憶させる訓練が必要になる。この記憶を習慣化する方法が[イメージ・トレーニング]である。

オリンピックの体操選手が「試合前に眼を瞑り、演技の動作をする」。プロゴルファーが「ティショットの時ボールの後ろに立ち、フェアウエィを確認している」のを見たことがあるだろう。
この時に、アスリート達が行っているのが「イメージ・トレーニング」、ボールの方向を確認するだけではなく、精神を統一し「スイングをイメージ」している。イメージ・トレーニングは、水泳、サッカー、ボクシング、野球、ゴルフなどのスポーツ分野だけでなく、音楽、演劇などの芸能分野、医療分野でも幅広く活用されている。

タイガー・ウッズは、ボールの後ろに立ち、静かに瞼を閉じ精神統一を図る。
テレビインタビューに答え、「僕がショットをイメージした時、200ヤード先の風にそよぐ木の葉の音、ボールが風を切り飛んでいく音、芝生に落下しバウンドして転がる音が聞える」と、語っている。
スイングをイメージすることとは、単にスイング動作のイメージだけでなく、情景を思い浮かべフィーリングを感じ取る重要さを語っている。

(画像をクリックと動画が再生)
「ゴルフのプレー(技)はアートである」
この格言が伝えるように、流れるような動作から生まれる高度な技(ショット)は一幅のアートを鑑賞する心に相通じるモノがある。ピアノやバイオリンなどの演奏はある時点でオートマチック(自動演奏)に切り替わらなければ、流れるような滑らかな演奏は生まれない。練習すれば正しい音は出せるようになるが、自動演奏に切り替えることができなければ、芸術性の高い素晴らしいミュージックを演奏することが出来ない。

ゴルフの反復練習とは、この連続したスムーズなオートマチック動作を習得することにある。無心に何百、何千とボールを打つことで、この動作を習得できる人も居るだろう。更に有効な方法が「イメージ・トレーニング」である。
スポーツ心理学者Karlene Sugarman教授(競技スポーツのメンタルトレーナー)は、「アスリートの最も強力な武器のひとつがイマジネーションである。イメージ・トレーニングとは、単に頭の中で何かを思い描いて空想を楽しむモノではなく。イメージしたことを実現させることにある」と、語っている。

イメージする時「ポジティブに正しい動作(スイング)をイメージする」。
これが有効な練習法である。
「ボールの行方や飛距離に心を奪われショットを繰り返しても、スキルが向上する訳ではない。スキル向上には正しいイメージ(動作)を描けるかどうかにある」と、Sara Lazar博士は語っている。
欧米諸国では「イメージ・トレーニング」は、実際の医療分野に取り入れられ、がん患者の治癒力・回復力の促進に活用されている。正に、「マインド・パワー」の不思議な力である。
ゴルフ上達の鍵は、イメージ・トレーニングを征する「マインド・パワー」にある。




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