2011年4月29日金曜日

アメリカのスポーツ心理学者から学ぶ 3

スイングをイメージする話
オリンピックの体操選手が試合前に眼を瞑り、「演技の動作をしている所」を見たことがあるだろう。この時にアスリート達が行っているのが「イメージ・トレーニング」である。イメージ・トレーニングは水泳、サッカー、ボクシング、野球、ゴルフなどのスポーツ分野だけでなく、音楽、演劇などの芸能分野、医療分野でも幅広く活用されている。

スポーツ心理学者Karlene Sugarman教授は、「アスリートの最も強力な武器のひとつはイマジネーション。人間の脳は実際に起こっていることとイメージしたことの差を識別する能力がない。イメージトレーニングとは、頭の中で何かを思い描いて空想を楽しむものではなく、イメージしたことを実現させることに意味がある」と語っている。
(画像をクリックと動画が再生)
ベン・ホーガンもジム・ハーディもクラブ制作のエキスパートも、「スライスを抑制」するには[スイングのイメージ化]が重要と教えている。スイング(軌道やクラブフェイス)を正しくイメージするにはどうすれば良いのだろうか?
練習場で何百発もボールを打ったりパットを闇雲に練習し、失敗を繰り返すことはネガティブ・イメージを[心/意識/マインド]に植えつけることになる。練習を繰り返す反復練習とはスムーズなオートマチック動作を習得することにある。その為には、正確に「成功の姿をイメージ」しながら練習を繰り返えさなければ効果は上がらないことになる。

多くのプロゴルファーが「イメージ・トレーニング」を採用しているのは、効率的にゴルフスイングの動作を記憶することと自分の意識(マインド)の中に「Confidence」を育むのが目的である。
「ポジティブに正しい動作(スイング)をイメージする」
これが有効な練習法である。その為には、先ず、[脳]に正しいゴルフスイングを記憶させる必要がある。
ハーバード大学メディカルスクール脳科学研究室のSara Lazar博士は、「学習により大脳に創られた記憶(メンタルモデル)が、小脳に[内部モデル]として形成されることにより[意識から無意識]への移行が行われる」と説明している。
脳の特性は、「脳」に都合の良い情報/記憶から優先順位を付ける働きがある。ですから、頭の中に良いイメージを描き記憶することにより、記憶される内容は悪い情報から良い情報に摩り替わる。イメージする時はポジティブなイメージを思い描くことが上達の鍵になる。
大脳のメンタルモデルを小脳の内部モデルに認識させる方法が、[イメージ・トレーニング]。幼児には無意識に[イメージする能力]があり、成長すると共にその能力が衰えて来る。大人が正確にイメージするには[脳]で憶える必要がある。この記憶を習慣化する方法が[イメージ・トレーニング]でもある。

カスタムクラブは信頼マインドを育む第一歩である。


2011年4月26日火曜日

[想定外]を知る術の話

今、日本のドライバー市場は長さ45~46+インチの長尺物が主流になっている。
ゴルフ雑誌の紙面には、大手メーカーに媚びる特集記事が踊っている。長尺ドライバーのデメリットを伝えるゴルフ専門家の情報は黙殺され、マスメディアは長尺ドライバーの利点しか報道しない。マスメディアに登場するゴルフ評論家はクラブメーカーの宣伝に務める御用評論家として消費者を惑わしている。

これ程、巷で評判の長尺ドライバー、プロゴルファーには殆ど使用されていない。
平均身長180cmを超える米国PGAプロのドライバー長さは平均44.5インチである。確かに、スティールシャフトからグラファイ・シャフト時代に移行し、プロゴルファーのドライバー長さは[1インチ]程度長くなった。ところが、市販ドライバーは[2~3インチ]も長くなり長尺化している。

何故、プロゴルファーは長尺ドライバーを使用しないのか?

プロゴルファーは長尺ドライバーに対する確かな[情報と知識]を所有し、結果を[想定]し判断しているからである。
何故、一般ゴルファーは確かな[情報と知識]が与えられていないのか?                                            
日本のゴルファーには、良識ある判断する機会が与えられていない。この要因は日本社会の情報の非公開性と情報操作体質にある。
この閉鎖性は福島第1原始発電所事故に顕著に現れた。事故当初から、東京電力/政府/マスメディアは安全を強調し事故を過少評価する報道をして来た。マスメディアに登場した御用学者は、原発事故を隠蔽し東電に媚びる報道を行って来た。

本来ジャーナリズムとは、客観的な視点から情報を検証し権力を監視する責務を負っている。ところが、マスメディアは東京電力の利益保護を優先し情報操作を行って来た。情報開示の閉鎖性は海外メディアに糾弾され、やっと放射能汚染の実態が報道され始めたが、楽観的な予測に基づいた情報しか公開されていない。第2次大戦中の大本営発表と全く同様の状況を思い起こさせる。

ゴルフ業界も全く同様の状況に置かれている。ゴルフクラブは原発事故ほどシリアスな問題ではないが、この10年を振り返ると日本の社会はあらゆる分野で情報操作が横行している感がある。メーカーの商品情報は宣伝広告とメーカー情報で統制され、消費者が真実を知るには自分で調査するしかなくなって来ている。美辞麗句で流されるメーカー情報が「真実」と錯覚されている。幸いにもインターネットの普及により、検索手段が確保されているのが現状ではないだろうか。

賢い消費者は、既に正しい情報を「検索する術」を持っている。これから重要なのは、消費者がインターネット上に多様な情報が報道されることを「監視する術」を身に付けることだろう。
マスメディアのゴルフ雑誌は、「ドライバー特集」を掲載しても大手メーカーの宣伝情報とメーカーに媚びる御用評論家の情報しか取り上げないだろう。消費者が正しい情報選択を行うには、商品のメリットとデメリット全ての情報を入手する努力と情報の判断力が求められることになる。

米国PGAプロよりゴルフスキルも体格的も(平均身長173cm)数段が劣るゴルファーにどのようなドライバーが適切なのか。日本の一方的なマスメディア情報だけを信じるのでなく、海外メディアの情報にも耳を傾け、多様な情報の中から「選択する術」を学び必要があるだろう。

何だか本当に嫌な世の中になって来た。
[原子力は安全です!]と情報操作するマスメディア体質と[長尺ドライバーは飛びます!]と報道するマスメディア体質に、同質に胡散臭さを感じる「触角」だけは研ぎ澄まして置く必要があるだろう。
孫正義氏も、同様にマスメディアの情報操作の恐ろしさを意識し始めたようだ。
http://www.youtube.com/watch?v=0OzDyVxIuR4&feature=mfu_in_order&list=UL