2010年11月1日月曜日

ヘッドスピードの話

ゴルフはスコアを競う頭脳ゲームである

「ヘッドスピードを高めるドライバー」
大きな飛びを実現」
飛距離アップを実現」
ゴルフの本質を忘れさせるクラブメーカーの宣伝広告が踊っている。

ゴルフをヘッドスピードを競う競技と捕らえた[HSを競うゲーム市場]が日本では急成長しているようだ。
大手クラブメーカーは、ヘッドスピード上昇を目的にした「軽く長いドライバー」販売し、ゲーム機械(スピード計測器)を開発している。ゴルファーは、ゲーム感覚でヘッドスピードを競い数値に一喜一憂している。欧米では見られない日本独特のゴルフ文化が生まれているのかもしれない。

米国PGAプロの平均ヘッドスピードは112mph(50m/秒)。最高はJ.B. Holmesの125mph(55.87m/秒)、最低が101mph(45.1m/秒)と公表されている。日本のゴルフレベルは米国より高く、米国PGAプロのヘッドスピード45.1m秒、50m/秒を超えるゴルファーは沢山居るようだ。
こんな話を聞く。
Golfショップは「シビアな数値を表示すると、気分を害するお客さんが多く」数値を甘く表示している。多分、「ゲーム市場」だからヘッドスピードの水増し(10~15%)に悪気は感じないのだろう。


一体、ヘッド(スイング)スピードとは何なのか?

ヘッドスピード(HS)とは、クラブを振った時、ボールをヒットする直前からインパクトの瞬間のクラブヘッドの速度である。メーカーの洗練された宣伝コピーは、「クラブヘッドの速度=飛距離UP」の錯覚を与える。
これは大きな誤解である。幾ら、HSが上昇しても飛距離UPには繋がらない。

何故か?
飛距離UPの基本3要素は科学的に検証されている。
(1)ボールの初速度(2)打ち出し角(3)スピン量。この3要素のバランスの取れたゴルフクラブが飛距離UPを実現する。ボールの初速度を出来る限りアップし、それに応じた最適な打ち出し角、最適スピン量でボールをヒットすることである。

ヘッドスピードは、第1要素「ボール初速度」に影響を与える一要因でしかない。
ボールの飛ぶ原理のメカニズムは、ゴルフボールがクラブヘッドの衝突により生じる衝撃度により変型し、その歪みを元に戻そうとする反発力で飛び出す。この時のボールが飛び出す速度が[ボール初速度]である。
インパクト時に優れた衝撃エネルギー(速く、強く、大きい)により、衝撃度(インパクトパワー)が生じ、ボール反発力が拡大し、飛び出す速度(初速)が速くなる。

ボール初速度は衝撃時のエネルギー[速さ/衝撃パワー/ミート率]により生み出される。長尺クラブが飛距離UPに結び付かないのはヘッドの軽量化(衝撃パワー不足)とミート率の低下が原因である。
つまり、HSの加速により[スピード]エネルギーが生じても、[衝撃パワー/ミート率]のエネルギーレベルが低ければ、ボール初速度は上昇せず飛距離UPには繋がらない。飛距離UPは、衝撃時のエネルギーが効率良く働いた時に起る結果である。軽量の長尺クラブは、[HSを競うゲーム]の玩具でしかない。

大手クラブメーカーの発信する情報は、宣伝広告のプロが考案した「商品を売るが為の情報」である。情報に嘘は無いだろうが、狡猾に情報操作された都合の良い一方的な情報でしかない。その情報に踊らされ[HSを競うゲーム]に一喜一憂し楽しむのも良いだろうが、歴史と伝統のある「スコアを競う頭脳ゲームGOLF」を見直してみては如何だろうか。

カスタムクラブは信頼マインドを育む第一歩である。
http://www.customclubusa.com/

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