［高弾道ドライバー］の話

日本では［高弾道］の話をすると、「打ち方の話」になる。宮里藍選手の打ち方がどうとか。ボールの立つ位置がどうとか。スイングのテクニカルな話になる。

確かに、「高弾道」を打つテクニックを習得することは大事であるが、誰もが簡単に習得できるモノではないだろう。勿論、知識として「アッパーブローの打ち方」を学び修練を重ねることは大事である。

重要なことは「高弾道の打ち方」を習得する前に、「高弾道」を理解する必要がある。

「高弾道」とは打ち出し角が大きく、尚且つ、バックスピン量の少ない弾道である。高く上がってもアゲンストの影響を受け難く、トータル飛距離の出る（キャリーとラン）球筋。

現時点のゴルフ理論では最大飛距離を約束する弾道である。現在、大半の米国PGAプレイヤーが打ち出す弾道であり、プロの求める夢の球筋が「高弾道」である。

「 高く上がる球筋」や「吹き上げの玉筋」と混同して理解している人が多数居る。知識不足・情報不足が大きな誤解を生んでいる。

PGAプロ達が厳しい鍛錬を重ねながら、単に「高く上がる球筋」を望んではいない。実際に「高弾道理論」が実践されるようになり、飛距離は飛躍的に伸び2008年の平均ドライバー飛距離は315ヤードを記録している。

PGAプロの求める夢の球筋が「高弾道」である。

「高弾道ドライバー」とは夢の「高弾道」を実現する性能を有するクラブのことである。

米国の高弾道を生み出す条件は、適正なクラブヘッドとシャフトとゴルフボールの選択と「アッパーブローの打ち方」にある。

適正なクラブヘッドの選択とは、「高弾道理論」の実践に基づき開発されたヘッドを選ぶことである。「高弾道理論のヘッド」とは、①最適打ち出し角 ②低スピン量 ③ポジティブ入射角 ④衝撃パワー ⑤ヘッドのギア効果 ⑥ヘッドの捩れの抑制 を行う能力（性能）を有する設計デザインが施されたヘッドである。最近開発されるヘッドは基本的にこれらの性能を研究され開発されているが、全てのクラブヘッドが「高弾道」を意識してデザイン開発されている分けでない。

日米の「高弾道ドライバー・スペック」を比較すると以下のようになる。

日本仕様［長さ：45～46.5インチ ロフト角：8.5～11度 クラブ重量：298～300g前後 SW:C６～C9前後］

US仕様［長さ：43～44.5インチ ロフト角：10.5～15度 クラブ重量：300～315g前後 SW:C7～D2 前後］

日本仕様の「高弾道ドライバー」は［長尺・軽量・低ロフト］US仕様は［中尺・中重量・高ロフト］になる。

日本仕様は標準規格品の長尺低ロフト・ドライバーになり、高弾道を打つにはかなりのスキルが要求されるだろう。一方、US仕様はカスタマイズが主流であり［クラブ長さ］は調整されている上に［ロフト角］が大きくボールが上がりやすい仕様なのが分かるだろう。

実はこれだけの差ではなく、日本仕様には大きな欠陥が潜んでいた。日本仕様の「高弾道ドライバー」には、致命的な欠陥があることが判明した。その欠陥とは……。