2012年5月19日土曜日

アイアンのフローに関する考察

14本のクラブセッテイングの基本は[ドライバー/FWD/アイアン/ウエッジ/パター]で構成されている。最近は10年程前から普及した「ハイブリッド」をロングアイアンに代わりに使用するゴルファーが増加傾向にある。
最新アイアン・セット
アイアン・フィティングの重要性は、「シャフト長さ/ロフト角/ライ角/重量」の流れるような一貫性を持った[フローデザイン]にある。
アイアンは、ロング(2~4番)からミドル(5~7番)ショート(8・9番)アイアンとウエッジ(PW/AW/SW/LW)で構成されている。この13本のアイアン・ウエッジの中から[9~11本]選択し構成する。
現代のアイアンのセッティングは[5I ~9I:5本]にウエッジ(2本~4本)加えた構成が主流である。40年前は[2I ~9I :8本]20年前は[3I~9I:7本]が標準とされていた。現在でも、アイアン愛好家の中・上級者はロングアイアン(3番アイアン)を愛用しているが、さすがに2番アイアンを使用する愛好家はプロプレイヤーの中にも少なくなった。時代と共に難しいロングアイアンは消え去る運命にあるのかもしれない。
40年前の標準アイアンスペック

2
3
4
5
6
7
8
9
PW
SW
クラブ長さ
39.5"
39.0 "
38.5"
38.0"
37.5"
37.0"
36.5"
36.0"
35.5"
35.5"
ロフト角度
22°
25°
28°
32°
36°
40°
44°
48°
52°
56°
ライ角度
59.0°
59.5°
60.0°
60.5°
61.0°
61.5°
62.0°
62.5°
63.0°
64.0°
総重量
410g 
422g
425g
430g
437g
442g
449g
452g
460g
470g
20年前の標準アイアンスペック

2
3
4
5
6
7
8
9
PW
SW
クラブ長さ
39"
38.5"
38.5"
38.0"
37.5"
37.0"
36.5"
36.0"
35.5"
35.5"
ロフト角度
19°
22°
25°
28°
32°
36°
40°
44°
48°
56°
ライ角度
59.0°
59.5°
60.0°
60.5°
61.0°
61.5°
62.0°
62.5°
63.0°
64.0°
総重量
409g 
412g
416g
420g
428g
433g
440g
443g
452g
464g
現代の標準アイアンスペック 

2
3
4
5
6
7
8
9
PW
SW
クラブ長さ

38.5"
38.5"
38.0"
37.5"
37.0"
36.5"
36.0"
35.5"
35.5"
ロフト角度

21°
24°
27°
31°
35°
39°
43°
48°
56°
ライ角度

59.5°
60.0°
60.5°
61.0°
61.5°
62.0°
62.5°
63.0°
64.0°
総重量

378g
382g
387g
395g
401g
408g
412g
420g
453g


現代の標準スペック(欧米モデル)は、20年前と殆ど変化が見られない。唯一「2番アイアン」を製造するメーカーが激減し入手が困難になって来ている。確かにハイブリッドの普及に伴う多少の変化が見られるが、20年前に比べロフト角が[1度減少]と大差無いアイアンが製造され現在に至っている。また、この20年の間に、スティールシャフトは130g前後から100g前後の軽量スティール、強靭な軽量グラファイトシャフト(85g~75g)が開発され、アイアンの軽量化が推進され[ヘッドスピードの上昇=飛距離UP]が実現した
何故、アイアン・スペックは、この20年間に大きな変化は生まれなかったのだろうか?
40年前、20年前、現代のアイアンスペックを比較しても[クラブ長さ・ライ角度]には大きな変化は認められない。何故ならば、アイアンの重要な要素は「飛距離の打ち分け」にあるからである。「飛距離の打ち分け」とは、番手毎に飛距離差(10~15ヤード)を生み出すクラブ調整である。ドライバーの様に「最大飛距離」を求める商品とは異なる「理念」に基づき[商品化]されている。飛距離を打ち分けるために、ゴルファーはアイアンセット(5~7本)+ウエッジ(2~4本)を持ち歩いている。アイアンの飛距離を確定する基本要素はクラブの長さとロフト角にある。


このリストから明らかなのはアイアンの最大変化は「ロフト角」にある。40年間にロフト角は緩やかに変化(ストロング化)してきた。ロフト角のストロング化のメリットは「飛距離UP」にある。この40年間にロフト角は[約5度]変化してきたが、この20年間に[1度]の変化しか見られない。
40年前ロフト角40度「7番アイアン」から「8番アイアン」に変化した。この変化は「8番」で「7番」の飛距離を可能にしたことである。番手が一番手上がる程度のフローの変化は、アイアン・フローの適正範囲内ということである。

重要なのは、
番手毎に「長さ・角度・重さ」の流れるような一貫性を持った[調整]である。飛距離打ち分けの基準は「サンドウエッジ」にある。リストでも判るように[SWロフト角56度]は40年間変化が無い。勿論メーカーにより1,2度の差はあるが、最新の初心者用アイアンのSWも56度前後が主流である。40年前も現在も、PGAプロはSWの飛距離を基準にしている。
一般的にSW飛距離を70~80ヤードを基準にする。この基準にショートアイアンからロングアイアンへ、ワンクラブ長くするにしたがって1/2~3/8インチ刻み]長くし10~15ヤード飛距離差]が出るようにスペック仕様を定めるロフト角は飛距離に応じて[2~4度刻み]調整するのが[アイアン・フローデザイン]である。

アイアン・ウエッジ
ロフト角(±1度)
調整飛距離(±10ヤード)
ロブウエッジ(LW)
60度
40~60ヤード
サンドウエッジ(SW) 
56度
70~80ヤード
ギャップウエッジ(AW/GW)
52度
80~100ヤード
ピッチング(PW)
48度
100~115ヤード
9アイアン
44度
120~130ヤード
8アイアン
40度
130~140ヤード
7アイアン
36度
140~150ヤード
6アイアン
32度
150~160ヤード
5アイアン
28度
160~170ヤード
4アイアン
25度
170~180ヤード
3アイアン
22度
180~190ヤード

このリスト基準は、平均ヘッドスピード(38m/秒)ゴルファーの[調整飛距離]である。重要なのは確実に「5番:170ヤード」を目標にするのではなく、番手ごとに10~15ヤード飛距離差]をデザインすることにある。
欧米では、こうした基本を重視する[アイアン・フローデザイン]が一般化している。「フローデザイン」を調整する上で重要なのが、角度調整を可能にする[素材]の選択である。
一方、日本ではアイアンの飛距離に焦点を当てた「飛ぶアイアン」を製造するメーカーが急増している。基本の[アイアン・フローデザイン]を無視する日本のガラパゴス化が、ゴルファーに与える影響は計り知れない。この問題は考察する必要があるだろう。

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