2011年1月21日金曜日

グラファイト・シャフトの話

この数年、リシャフト・ブームが続いている。下火になるかと思っていたら、[シャフトバブル]の様相を呈して来た。PGAプロ並みの[高性能・高価格シャフト]を装着するゴルファー達が増加傾向にある。 


グラファイト・シャフトCFRP]で製造されている。
Carbon Fiber Reinforced Plastic(CFRP)とは、カーボン繊維を熱硬化性樹脂で強化した材料である。グラファイト・シャフトはこのカーボン繊維を更に2000℃以上の熱処理を加えた強度のある黒鉛繊維(graphite fiber)が使用されている。
カーボン(炭素)繊維は1950年代に航空機への使用を目的に欧米の研究者がで開発に着手し、1959年に日本の研究者が製品化に成功した素材である。カーボン繊維の原料は、セーターなど衣料に使用されるアクリル繊維で、このアクリル繊維を1000度以上の高熱処理すると[炭素]だけの素材になる。この糸状のカーボン繊維を並べて熱硬化性プラスチックで接着し、シート状に加工した物が[CFRP]であるCFRPの特徴は軽さと強度にある。比重は鉄の約25%、アルミの70%程の重さしかなく、鉄の約10倍の引っ張り強度がある。

CFRP素材の性能は[引っ張り強度と弾性率]により格付けされ、引っ張り強度(3.5~6.5GPa)弾性率(230~935GPa)が生産されている。高強度・高弾性の素材ほど高価になる。
世界の炭素繊維市場は東レ、帝人、三菱レイヨンの3社が6割、日本勢が8割のシェアを占めている。軽く強度のあるカーボン繊維は省エネ性能を大幅に高めるため、航空機や自動車への採用が本格化しカーボン繊維の世界需要は急速に拡大傾向にある。


日米のグラファイト・シャフト・メーカーは日本製の[CFRP]を使用しており品質に差はない。アメリカ製シャフトの3倍4倍の商品が流通する日本のシャフト市場に[シャフトバブル]の影を見る。確かに、アメリカでも[高性能シャフト]は売られている。こうした商品はLDA競技に参戦するプロか。年収数億ドルを稼ぐPGAプロに限られている。余程お金に余裕があるか。騙された訳でなければ、アベレージ・ゴルファーが購入することは非常に少ない。 
人命に関わる宇宙船や航空機に要求される[高性能カーボン繊維]のシャフトを必要とするのだろうか?
1本数千円と3万円以上するシャフトに大きな性能差があるのだろうか? 
日本メーカーの過剰な[高価格シャフト]の商品開発は精神異常をきたしているとしか思えない。ゴルフクラブの性能比率からすれば、ヘッド50%シャフト40%グリップ10%だろう。仮にシャフト性能を50%としても、ヘッドの3倍4倍5倍のシャフト価格に疑問を持たずに商品開発するメーカーに異常さを感じる。

ゴルフクラブの飛距離は、飛びの3原則[ボールスピード打ち出し角スピン量]と[ミート率が確定することは科学的に実証されている。適切なシャフトに交換することにより[クラブ重量長さが適正化され弾道が向上することはあるが、これは[シャフト性能]だけの働きではない。幾ら[高性能・高価格シャフト]を使用しても、シャフトが適正な打ち出し角を作り出すことはできない。軽量シャフトによりヘッドスピードは向上するかもしれないが、ボールスピードが上昇するとは限らない。弾道の安定度はシャフト性能よりクラブヘッドの働きが重要なことは実証されている。
シャフト製造の最新テクノロジーが軽量シャフトを生み出し高額な長尺ドライバー市場を作り出している。結果高額商品を購入できない若年層のゴルフ離れを加速しゴルフ人口の低下を招いている。 

[高性能シャフト]この謳い文句にゴルファーは踊らされているのではないか?
異常なまでの[性能重視]の商品開発の目的な何処にあるのだろうか? 
原因は、世界のカーボン繊維業界の日本勢の市場独占にある。常識を超えた「高価格シャフト市場」のモノポリーを崩壊するには中国メーカーの台頭を待つしかないのだろうか? 外圧が無ければ市場の健全化(国際化)が推進されぬのなら、これほど愚かなことは無い。 
ゴルフの楽しむための[道具つくり]とは何か。[原点]を真剣に考える時期にきている。
 
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